工事現場にインターネット環境って必要ですか?
携帯電話がつながれば十分だと思うのですが。
この記事では、上記のような疑問にお答えします。
ジュンチャムってどんな人?
✅ 土木歴10年(現役)の現場代理人。
✅ 3児(小学生2、幼児1)の父。
✅ 趣味でメダカを飼っている。
結論から言いますと、工事現場にインターネット環境は必要と私は考えています。
近年の公共工事はIT化が急速に進んでおり、データのやり取りに対してもより、スピーディーな対応が求められるようになってきています。
近年の土木工事は総合評価方式の入札が増えてきていることから、全国の土木業者が工事成績を意識するようになり、発注者との連絡体制を整えたり、最新の技術を取り入れようとする動きはどんどん高まってきているのがその理由です。
入札における総合評価方式とは
総合評価方式とは、入札時に提示された価格の安さを評価する「価格競争方式」とは違い、入札価格だけでなく技術提案における提案力、過去工事の実績や技術力、会社の信頼性等も考慮した基準で評価され、落札者を決定する方式です。
これにより、入札金額が一番低い業者が工事を落札するとは限らず、多少入札金額が上でもその他の要因で逆転可能な為、過去の実績があったり技術力の高い業者ほど、入札競争で有利になります。
ひと昔前(書類が紙の時代)までは、その日の立会報告書等を現場が終わってから会社に戻って作り、翌日に提出するのが当たり前でしたが、もう今の時代、それでは遅いです。
これからの時代は立会終わりに監督職員が事務所に戻る頃にはもう報告書をASPで送っているぐらいの事は普通にしないと、発注者からしても何の印象にも残らないと考えられるのですが、それを可能にする為に工事現場にはインターネット環境が整っている必要があります。
この記事を読む事で工事現場に必要なネット環境について理解することができるので、工事評定点で高得点を取得し、あなたの会社内での評価を上げる為にも、是非、最後まで読んでみて下さい。
・今、行っている工事に最適なインターネット環境について知りたい。
・できれば面倒な開通工事を省略したい。
・インターネット環境を整えるメリットを知りたい。
・今、行っている工事に最適なインターネット環境について知りたい。
・できれば面倒な開通工事を省略したい。
工事現場におけるネット環境とは
まず、私達が働く工事現場にネット環境を整える方法は大きく分けて3つあります。
・ 光回線
・ モバイルWi-Fi
・ スマートフォンとテザリング
特徴
回線 | 移動 | 月額料金の目安 | 通信速度 |
---|---|---|---|
光回線 | ✖ | 5,000円程度 | 最大1~2Gbps |
モバイルWi-Fi | 〇 | 2,000~4,000円程度 | 500Mbps~最大1.2Gbps程度 |
テザリング | 〇 | スマホ契約による | 7000Mbps程度 |
光回線は光ファイバーを利用するため、大容量のデータを高速で通信できるのが特徴です。現場事務所に直接回線を引くので通信も安定しています。使用範囲はWi-Fiルーターを設置した場所から電波が届く範囲のみです。
それに対しモバイルWi-Fiは、どこにでも持ち運ぶことが可能で、他現場や移動中でも利用できる利点がありますが、通信の質は利用する環境の電波状況に依存するという特性があります。
お使いのスマートフォンとテザリングをする場合、お使いのスマートフォンの通信料を利用する為、『光回線』や『モバイルWi-Fi』のような特別な契約をすることなくインターネット通信をすることができるのが特徴です。
テザリングとは?
テザリング[1](英: tethering[2])とは、WANに接続する機能を有するモバイル端末(携帯電話回線に接続されたスマートフォンなど)をアクセスポイントとして設定し通信を中継することにより、その端末とLAN等で接続された機器をインターネットに接続することである。
引用 Wikipedia
私としては、現場事務所のネット環境に『テザリング』はあまりおすすめしていません。
『光回線』か『モバイルWi-Fi』のどちらかを選ぶのが良いでしょう。
※インターネットを繋ぐ方法はその他にも『ケーブルテレビ』を使って繋ぐ方法もありますが、自宅とは違い、工事現場にテレビ回線は無いと思うので選択肢には入れていません。
スマートフォンとのテザリングではダメなの?
先程『あまりおすすめしない』と言ったスマートフォンとのテザリング機能、インターネット環境が整っていない現場でパソコンでメールを送ったりする場合に便利な機能ですが、これにはこのようなメリット・デメリットがあります。
メリット | デメリット |
---|---|
・携帯会社以外の契約が必要ない。 ・スマートフォン以外の機器を持ち歩く必要がない。 | ・追加料金が発生する場合がある。 ・通信速度が遅くなりやすい。 ・スマートフォンのバッテリー消費が早くなる。 ・基本的に1台しか接続できない。 |
スマートフォンのテザリングはお使いのスマートフォンと接続する機器(パソコン等)さえあれば接続可能な上、通信料は電話料金と一緒に支払うことができる点は便利ですが、使いすぎて契約プランのデータ容量を超過すれば当然、速度制限がかかります。
スマートフォンのバッテリーにかかる負担もかなり大きいので、『勤務時間中テザリングし続ける』といった使い方はかなり難しいです。
私も現場から少しメールを送る時に手持ちのiPhoneとパソコンをテザリングしていましたが、最近は接続したい機器が増えた事ですぐに速度制限がかかるようになったので、ポケットWi-Fiを持つようになりました。
現場の環境別、おすすめのネット回線の種類
ここでは、現場の規模や環境に応じた使用する回線の選び方を紹介します。
短期工事・小規模工事に『モバイルWi-Fi』
まず、私が基本的に工事現場におすすめ(実際に使用)しているのはモバイルWi-Fiです。
この『モバイルWi-Fi』をおすすめする理由は、移動中や他現場に行った時でも使う事ができるからです。
光回線のような接続工事が全く必要なく、契約後に送られてくる端末(モバイルルーター)を持ち歩くだけで電波が届く場所であればどこでもその場所がWi-Fiスポットになります。
私の場合、このモバイルWi-Fiは現場が変わっても(光回線を契約する場合でも)ずっと契約しっぱなしです。
月額3000円程度で少なくとも自分の関わっている現場はインターネット環境が整う事になるのでコストパフォーマンス的にも優れていると思います。
ここで注意しなければいけない事があります。
それは、モバイルWi-Fiにも複数、種類があるという事です。
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モバイルWi-Fiはサービスやプランによって通信速度やひと月あたりに使用できるデータ量が異なります。
住んでいる地域やその他要因によっておすすめのサービスは変わります。
種類 | おすすめNo.1 | 速度 | 範囲 | データ容量 |
---|---|---|---|---|
WiMAX+5G | [5.0] | [3.0] | [5.0] (無制限) |
|
クラウドSIM | [4.0] | [4.0] | [4.0] (20GB~200GB) |
|
各キャリアSIM | |
4.0] | [3.5] | [4.0](20GB~200GB) |
※楽天モバイル WiFi は、エリア外の場所の使用は月間5GBまでしか高速通信できないので注意が必要。
モバイルWi-Fiの種類は大きく分けて3つ、『WiMAX+5G』、『クラウドSIM』、『各キャリアSIM』です。
特徴としては、『WiMAX+5G』は高速通信が売りですが使用できるエリアは少し狭いので、主に電波が強いエリアでの使用に向いています。
逆に『クラウドSIM』や『各キャリアSIM』は、携帯電話会社の電波を拾って通信するので広い範囲で使用する事ができるという利点はありますが、通信速度は光回線に比べて遅くなってしまいます。
私の場合、常に電波の良い街中の現場を受け持つわけではなく、山奥や山間部の現場に行くことも多いので少しでも電波を拾える可能性が高い『クラウドSIM』を選んでいます。
クラウドCIMとは、Wi-Fiを利用したい場所に飛んでいるキャリアの中から最も電波状態の良い通信に接続する仕組みの端末です。
山間部の工事現場になると、『この場所はドコモだけが使える』とか、逆に『au、ソフトバンクは使えるけどドコモは県外』のように、その場所によって電波が入りやすいキャリアが違うのですが、これを持っていることでどこか1つでも電波が入ればインターネットが使えるので、通信できる確率が高くなります。
長期間(6か月以上)の工事に最適『光回線』
工事期間がある程度、長期間になる場合は光回線を検討してみても良いと思います。
目安としては、工事金額もそれなりにあり、事務所滞在が半年以上を予定している工事であれば、迷わず光回線を選びましょう。
これからの公共工事は、少なくとも工事成績で高得点を狙う場合は現場事務所のインターネット環境は必須です。
工事期間が長期にわたる場合は少しでも快適な環境にする事でストレスを軽減することができます。
光回線を選ぶ場合は、以下の点に注意しなければなりません。
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工事現場に光回線を引く場合は回線の引込工事が別途かかる上、2年契約等の契約期間の縛りがあるものもあり、数か月で解約した場合は数万円の違約金が発生する場合があります。
これを理解した上で、最適なプランを検討すると良いでしょう。
おすすめ No.1
ネット環境があるとどんな事ができる?
発注者とのメールのやり取り
発注者との打合せ簿の作成やメールのやり取りが、現場でできるようになります。
インターネット環境がなければ、現場で下書きを作っておいて、会社や家に帰った後にまたパソコンを立ち上げて送る事になるので、その時間が短縮されることになります。
ウェアラブルカメラを使用した遠隔立会
国土交通省より、今年(令和4年度)から建設現場での『遠隔臨場』が本格的に実施されることが発表されました。
建設現場における「遠隔臨場」を本格的に実施します~実施要領(案)の策定と事例集を発刊~ 国土交通省 令和4年3月
こちらは、ウェアラブルカメラやスマートフォン、タブレット等を使用してweb会議システム上で遠隔立会をするものなので、インターネット環境は必須です。
今後は国土交通省だけでなく、各都道府県や市町村でも同様の対応が求められていくと考えられるので、今のうちから準備しておきましょう。
遠隔臨場について、詳しくはこちらを参考にすると良いでしょう。
建設現場の遠隔臨場に関する試行要領(案) 国土交通省 令和3年3月
現場カメラ(タフネススマホ)データの取り込み
工事写真をデジタルカメラで撮影していたのは過去の話、近年の建設工事の現場写真は黒板を持ち歩く必要のない『電子小黒板』を使うのが当たり前になりつつあります。
この電子小黒板はインターネット環境がなくても工事写真の撮影はできるのですが、そのデータをパソコンに取り込み、管理する際にインターネット環境が必要となります。
この電子小黒板に最適なスマートフォンについては過去に書いた事があるので、よければこちらも読んでみて下さい。
定点カメラの管理
現場全体が見渡せる場所に定点カメラを設置し、タイムラプスを作成したり、WEB上で誰でも確認することができるようにしたい場合も、現場にはインターネット環境が必要です。
このように、国土交通省が推奨する技術とうまく併用する事により、創意工夫の項目で複数の加点を狙っていくことができます。
まとめ
最後に、現場の状況毎におすすめのインターネット環境の選び方を再度確認してみましょう。
種類 | 状況 |
---|---|
光回線 | ・工事期間が半年以上。 ・高得点を狙っている。 ・会社のバックアップ体制がある。 |
ポケットWi-Fi | ・工事期間が半年以下。 ・個人契約向け(光回線との併用もアリ)。 |
テザリング | ・現場でインターネットをする予定がない場合の緊急用。 |
正直、光回線は工事の予算で契約することになると思うので、会社に理解がないと難しいです。
なので、私の周りにも「どんな現場でもポケットWi-Fiを使っている」という現場代理人はたくさんいます。
この記事があなたにとって最適なインターネット環境を見つける手助けになれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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