今日はコンクリート天端仕上げに使用する『鏝』について書いていきます。
この『鏝』と言っても本職の左官職人さんは多種多様な材料を様々な条件(壁や地面、時には天井)に塗り付けるので、本当にいろいろな種類の物があるのですが、左官(鏝)の記事はインターネット上にたくさんあるので、今日の話題はあくまでも『土木作業員(多能工)が生コンクリートを仕上げる為の鏝』にしぼって書いていきたいと思います。
この記事はこんな方におすすめ
・コンクリートの天端仕上げの方法を知りたい。
・金鏝を買おうと思っているけど、どんな物を選べばいいのかわからない。
・コンクリートを使ったDIYをしようと思っている。
コンクリートの打設(仕上げ)の基本
手順1 タンピング
タンパーという道具でコンクリート表面を繰り返し叩いて締め固める作業です。
通常2回(打設直後と全体が落ち着いてから)行います。
表面をしっかり締め固める事と骨材がしっかり沈んでいる状態にすることが目的なので、広さや場合によってはアルミトンボやスコップ・木鏝(プラ鏝)で代用する事もあります。
その時、私の場合「叩く」と言うより「抑え込んで揺らす」イメージで行います。そうすることで生コンクリートの材料(砕石・砂・セメント・水)の中でも比重の重い砕石や砂等は沈み、表面にはノロだけが残ります。
この状態になるまでタンピングをする事が大切で、これが不十分でだと水(ブリーディング)があまり浮いて来ずコンクリートがすぐに固まる上、骨材が表面にいて鏝をかけると跳ねる上がるので無駄な時間がかかり、仕上げが間に合わなくなります。
手順2 木鏝(プラ鏝)均し
プラスチック製の鏝でコンクリート表面を均す作業です。
2回目のタンピング直後に行います。
昔は木製でした(木製も無くなった訳ではなく、今でも好んで使っている左官屋さんはたくさんいます)が、消耗が激しいのか、コンクリート打設ではプラスチック製の鏝を使うのが私の周りでは主流です。
おっちゃん職人に「おい、キゴテ持って来ぉい」と言われても「これが木に見えるか?」と答えてはいけません。
それはプラスチック製のキゴテです。
この鏝を使う目的は表面の凹凸を無くす(平坦にする)ことがなので、鏝は立てて使わず、ベタッと鏝全体が当たる状態で引き摺るように使います。その為、この鏝を使った時点では表面は綺麗ではなくザラザラの状態です。
手順3 金鏝押さえ
鉄でできた鏝(金鏝)で表面を均す作業を「押さえ」と言います。
『金鏝』と言っても地金、半焼き、油焼き、本焼き、ステン、特殊鋼等いろいろな種類がありますが、コンクリート仕上げの鏝の材質は、好みもありますが基本的には焼きが硬く薄く仕上げられる『油焼き』『本焼き』『ステンレス』の中から選ぶと良いでしょう。
1回目は木鏝(プラ鏝)均しの後ろから追っかけて行います。
木鏝と金鏝の両方を持って、木鏝でコンクリート面を平坦に均しながら追っかけで金鏝をかけていきます。
2回目の押さえからは金鏝のみで仕上げます。
2回目のタイミングは1回目の押さえた時に表面に浮いた水が引いた瞬間です。
鏝を少し立てて撫でると裏面にノロがたまるぐらいの硬さがベストだと思います。
手順4 仕上げ
通常、乾きを見ながら3回目の押さえで仕上げますが、左官と違い土工均しの場合は残業回避の為に、2回目の押さえの後ろから0.02mmか0.03mmぐらいのうすーい鏝で軽くぺろんと撫でて終わりにすることもよくあります。(それでも仕上がりは割と綺麗です。)
時間に余裕がある時や比較的目立つ場所はさらに水分が引いた後、硬い焼き入れが入った鏝で磨くように仕上げると更に綺麗になります。
土木作業員(多能工)が自分で左官鏝を買うべきか
土工(多能工)が自分で左官鏝を買うべきか
確かに土工(多能工)はいわゆる『左官屋さん』とはちがうので必ずしもコンクリート仕上げ用の鏝を職人が自分で用意する必要はないかもしれません。
実際にどこの土木会社も絶対に鏝はあるのでそれを使っても全然大丈夫です。
言いたい事は何となくわかりますが、この鏝は実際に実在する会社で1軍として使用されている鏝です。
会社の倉庫の鏝がこの状態であれば、自分で買うべきです。
土木作業員(多能工)におすすめの左官鏝
1. プラ鏝(木鏝)
使用頻度 ★★★★★
これは使用頻度が最も高い鏝です。
むしろ、この鏝が無いとコンクリート打設はできないと言っても過言ではありません。
木製はすり減りやすいので私的にはプラスチック製がおすすめです。
2. 天端鏝(145×90程度)
使用頻度 ★★★★☆
天端鏝は現場打側溝の天端を均す時や刷毛引き仕上げの縁取り等に使用する鏝です。
150mmの物を選んでしまうとたまに型枠内に入らない時があるのでそれよりも少しだけ小さいものを選ぶと良いと思います。
私の場合は145×85×0.05(ステン)です。
3. 角鏝(280×90程度)
使用頻度 ★★★★☆
角鏝もかなり使用頻度は高い鏝です。
私は天端幅300の擁壁に対応できるように、それより少しだけ小さいサイズ270~280程度の物を2本(6年ぐらい前に買った油焼きと薄い0.03mmのアローライン(本焼き))持っています。
4. 土間鏝(360程度)
使用頻度 ★★★☆☆
先の丸い形の鏝の事を『土間鏝』言います。
用途はその名前の通り土間を撫でたり、幅の広い天端仕上げに使います。
大きいサイズの角鏝を使用する方もいますが、仕上がりに筋が残りやすいので上級者向けです。
広い土間コンクリートを勢いよく仕上げていく姿はかっこいいし憧れますが、私の実力ではせいぜい天端幅1m程度の擁壁天や、広くても車2台分ぐらいの土間をたまに仕上げる程度なので使用頻度はそこまで高くないです。
5. 押え鏝(180~210程度)
使用頻度 ★★★★★
これは比較的最近買ったのですが、かなり使い勝手がいいです。
この鏝は「ここに使用する」って言うのは特に無いんですけど、面木の際や既設との擦り付け等は、硬くてそこそこ厚みのある鏝でしっかり押さえたいのでそう言った時用に1本でも持っているとかなり便利です。
この鏝はタフな使い方をするので、私は少し高価ないい物を使っています。
サイズは190mmだったと思います。
まとめ
今回は『土木作業員(多能工)におすすめするコンクリート天端仕上げ用の鏝』について書いてみました。
私自身目地鏝や道路面引等々、鏝自体は他にも持っているのですが、また近いうち、用途の違う鏝についても書いていこうと思います。
尚、この他にも「これが抜けている」「この鏝があると便利」と言うものがあれば是非、教えて下さい。
それでは、ご安全に。
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