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    産廃契約書の書き方とマニフェストの流れ【土木工事の現場監督が解説】

    産業廃棄物処理委託契約(産廃契約)について知りたいです。
    土木工事の完成検査では提示書類となっていますが、手元に何があれば良いのかも教えて下さい。

    検査時に持っていなければいけないマニフェストは、自社運搬の場合は(A) (B1) (B2) (C2) (D) (E) 、委託運搬の時は(A) (B2) (D) (E) です。
    完成検査ではこのマニフェストが正しく運用されているかは必ず確認されるので、今日はこの書き方や確認印の位置等をおさらいしてみましょう。

    こんにちは、当サイト『ドボクジゾー』を管理しているジュンチャムです。

    このサイトは、現役で土木工事の現場代理人をしている私が、過去に悩んだ経験をもとに情報を発信していくブログです。

    ジュンチャムってどんな人?

    ✅土木歴10年(現役)の現場代理人
    ✅3児(小学生2、幼児1)の父。
    ✅趣味でメダカを飼っている。

    建設業とは切っても切れない(というか必ずついてくる)産業廃棄物処理委託契約。

    コンクリートやアスファルト殻を始め、土木工事ではほぼ全ての工事で多かれ少なかれ産業廃棄物は発生するので、工事の度に契約することになるのですが、あなたはこの『産廃契約』について正しく理解していますか?

    今日はこの産廃契約の仕組みについておさらいした後に契約書の書き方とマニフェストの流れについて説明していこうと思います。

    この記事は土木工事の現場管理をしている私が、完成検査の為に覚えておいた方がいいポイントや間違えて指摘されやすい部分も含めて現場代理人の目線で書いているので、是非、参考にしてみて下さい。

    この記事でわかること

    ・産業廃棄物処理委託契約について知りたい。
    ・マニフェストの流れを知りたい。
    ・検査時に手元に何票があればいいのかを知りたい。

    ※この記事の最初の方は産業廃棄物が何かわからない人に向けた説明から書いているので、とりあえず産廃契約の書き方について知りたい方は『目次2』から、マニフェストの流れが知りたい方は『目次3』から読んで下さい。

    \ クリックで見たい場所に飛べます /

    もくじ

    産業廃棄物処理委託契約(産廃契約)の仕組み

    廃棄物って何?

    まず産業廃棄物や産廃契約の話をする前に、廃棄物について説明します。

    そもそも廃棄物とはその名前の通り『廃棄』する『物』、つまりゴミの事なのですが、その廃棄物を大きく分けると『産業廃棄物』と『一般廃棄物』に区分されます。



    産業廃棄物 事業活動に伴って生じた廃棄物(20種類)
    特別管理産業廃棄物
    一般廃棄物 ごみ(家庭ごみ・事業ごみ・一般ごみ・粗大ごみ等)
    し尿
    特別管理一般廃棄物

    その中でも『産業廃棄物』は、一般の家庭ごみとは違って事業活動(団体や会社が動くこと)によって生じた廃棄物のうち、法令で定められた20種類の廃棄物のことを指します。

     
    この定められた20種類に該当していなければ、事業活動によって出た廃棄物であっても『一般廃棄物』扱いとなります。

    産業廃棄物の種類

    法令で定め20種類の廃棄物は以下の通りです。

    区分 種類 具体的な例













    ①燃え殻 焼却炉の残灰などの各種焼却かす、活性炭
    ②汚泥 排水処理の汚泥、建設汚泥などの各種泥状物
    ③廃油 グリス(潤滑油)、大豆油など、鉱物性動植物性を問わず、すべての廃油
    ④廃酸 廃写真定着液など、有機性無機性を問わず、すべての酸性廃液
    ⑤廃アルカリ 廃写真現像液、廃ソーダ液など、有機性無機性を問わず、すべてのアルカリ性廃液
    ⑥廃プラスチック類 発泡スチロールくず、合成繊維くずなど、固形状液状を問わず、すべての合成高分子系化合物(合成ゴムを含む)
    ⑦ゴムくず 天然ゴムくず(注:合成ゴムは廃プラスチック類)
    ⑧金属くず 鉄くず、アルミくずなど、不要となった金属
    金属の研磨くず、切削くずなど
    ⑨ガラス・コンクリート・陶磁器くず 板ガラス、耐火レンガくず、タイル、石膏ボードなど
    コンクリート製品製造工程からのコンクリートくず
    ⑩鉱さい 鋳物砂、サンドブラストの廃砂、不良石炭、各種溶鉱炉かすなど
    ⑪がれき類 工作物の新築、改築、除去に伴って生じたコンクリートの破片、レンガの破片など
    ⑫ばいじん 大気汚染防止法のばい煙発生施設、または産業廃棄物焼却施設の集じん施設によって集められたばいじん














    ⑬紙くず 以下の業種から発生する紙くず
    →建設業(工作物の新築、改築、除去により生じたもの)、パルプ製造業、製紙業、紙加工品製造業、新聞業、出版業、製本業、印刷物加工業
    (注:これ以外の業種から発生する、コピー用紙などは、事業系一般廃棄物)
    ⑭木くず ①以下の業種から発生する木くず、おがくず、バーク類など
    →建設業(工作物の新築、改築、除去により生じたもの)、木材又は木製品製造業(家具製品製造業)、パルプ製造業、輸入木材卸売業、物品賃貸業
    (注:これ以外の業種から発生した②以外のものは、事業系一般廃棄物)
    ②貨物の流通のために使用したパレット(パレットへの貨物の積付けのために使用したこん包用の木材を含む。)
    (注:木製パレットは、排出事業者の業種限定はありません。)
    ⑮繊維くず 以下の業種から発生する天然繊維くず
    →建設業(工作物の新築、改築、除去により生じたもの)、衣服その他繊維製品製造業以外の繊維工業
    (注:これ以外の業種から発生する、天然繊維製の衣服などは、事業系一般廃棄物)
    ⑯動物系固形不要物 と畜場で解体等した獣畜や、食鳥処理場で処理した食鳥に係る固形状の不要物
    ⑰動植物性残さ 食料品製造業、医薬品製造業、香料製造業で原料として使用した動物や植物に係る固形状の不要物(魚や獣のあら、醸造かす、発酵かすなど)
    ⑱動物のふん尿 畜産農業から排出される牛、馬、めん羊、にわとりなどのふん尿
    ⑲動物の死体 畜産農業から排出される牛、馬、めん羊、にわとりなどの死体
    ⑳汚泥のコンクリート固型化物など、(1)~(19)の産業廃棄物を処分するために処理したもので、(1)~(19)に該当しないもの

    この20種目を現場から搬出する時は、都道府県・政令市から許可を受けた収集運搬業者や処分業者処理業者と書面により適正な契約を結ばなければなりません。

    ちなみに、コンクリート殻・アスファルト殻は上表の『⑪がれき類』としての搬出となります。

    処理委託契約の5つの原則

    この契約を結ぶにあたり、必ず守らなければならない5つの原則があります。

    処理委託契約の5原則

    ① 二者契約であること
    ② 書面で契約すること
    ③ 必要な項目を盛り込むこと
    ④ 契約書に許可証等の写しが添付されていること
    ⑤ 契約終了から5年間保存すること

    この5つです。

    必要な項目が記載されている適切な書類を使用し、運搬業者と処理業者が違う場合は、2つの産廃契約を結ぶというところさえ注意しておけば、決して難しい事ではありません。

    契約が完了したら、その時に委託業者の許可証をコピーしてもらい、契約書と一緒に5年間は保管しましょう。

    産廃契約の書き方

    様式を持っていない方はこちら ↓

    これで収集運搬用も処分用もいけるのでまず、ダウンロードしましょう。

    これをA3用紙で両面印刷して半分に折ります。

    これで、事前準備完了です。

    契約書類の書き方(処分用)

    準備ができたら、約款を書いていきます。

    番号概要
    契約日(作成日)の日付を書く
    収入印紙を貼付け、割り印を押す
    元受会社の情報を書き込む。その上の契約区分は『処分用』をペンで囲む
    運搬会社の情報を書き込む。自社運搬の場合は『上と同じ内容』又は『自社運搬』と書く。
    複数の運搬会社が運搬する場合はこちらに記入する。
    『処分用』を丸で囲み、その下の線をペンでなぞる。その後、㊞に押印。
    処分業者が書き込み、押印する。
    番号概要
    作業所は『工事名』、搬出場所は『現場住所』、委託期間は契約日から工期末まで。
    搬出予定数量を書き込む。
    処分業者が書き込む。

    契約書類の書き方(収集運搬用)

    処分用の産廃契約書に運搬業者を書いたからといって、それで終わりではありません。

    『託契約の5つの原則』でも説明した通り、産業廃棄物処理委託契約は必ず二者契約でなければならないので、それとは別に、収集運搬用の契約を収集運搬業者と結ばなければなりません。

    その場合がこちらです。

    番号概要
    契約日(作成日)の日付を書く
    収入印紙を貼付け、割り印を押す
    元受会社の情報を書き込む。その上の契約区分は『収集運搬用』をペンで囲む
    『収集運搬用』を丸で囲み、その下の線をペンでなぞる。その後、㊞に押印。
    運搬業者が情報を書き込み、押印する。

    処分用の契約と大きく違うところは、③が収集運搬用に変わり、④が1つ左にズレた事です。

    ⑤は収集運搬業者が書き込み、押印します。

    いくらの収入印紙を貼るの?

    契約の際は、収入印紙を貼付けてお互いの会社が左右に割り印をするのですが、この時に貼付ける収入印紙の金額は、産業廃棄物の処分予定金額によって変わります。

    処分用

    収入印紙処分予定金額
    非課税1万円以下
    200円100万円以下
    400円200万円以下
    1,000円300万円以下
    2,000円500万円以下
    10,000円1,000万円以下
    20,000円5,000万円以下
    60,000円1億円以下
    100,000円5億円以下

    収集運搬用

    収入印紙運搬予定金額
    非課税1万円未満
    200円10万円以下
    400円50万円以下
    1,000円100万円以下
    2,000円500万円以下
    10,000円1,000万円以下
    20,000円5,000万円以下
    60,000円1億円以下
    100,000円5億円以下

    注意しなければならないのが、この収入印紙は、工事金額ではなく、産業廃棄物の処理(又は運搬)の金額に対して張るという事です。

    なので、中規模程度までの土木工事であれば、収入印紙は大体200円の範囲に収まります。

    自社運搬の場合はどうなる?

    元受会社が自社の車で廃棄物を持ち込む場合でも産廃契約は必要です。

    その場合、産廃契約は処分業者の1社だけ契約し、持込みに収集運搬の許可は必要ありません。

    マニフェストの書き方と流れ

    持ち込んだ産業廃棄物は、適切に処理されたかを『マニフェスト』により責任もって確認しなければなりません。

    マニフェストとは、こんな物です。

    この紙を現場から持ち出す産業廃棄物と一緒にこの紙も処理業者に渡し、適切に処理が完了すれば郵送で送られて来るという仕組みです。

    マニフェストの書き方

    マニフェストの書き方はこちらです。

    番号記入内容
    元受会社が伝票を交付した日(搬出日)
    担当者の所属(現場所長、現場代理人等)・氏名
    元受会社の住所・名称・電話番号
    施工場所の住所・工事名・電話番号(なければ書かなくてもよい)
    該当する単位・品目の番号に○を付け、数量を記入する
    運搬業者の情報を記入。元受会社が運搬の場合は自社運搬と記入する
    車両ナンバーは番号だけでなく全て記入。
    運搬業者が2社の場合に使用する。なければ/を引く。
    処分先(処分施設)の情報を記入
    処分業者(本社)の情報を記入
    運搬担当者のサイン(会社名・氏名)

    記入時に注意しなければならないところは、⑥の車両番号は数字だけでなく『○○11-あ-1234』のように、全て記入する事と、⑩の運搬担当者のサインは名前だけでなく所属会社も記入する事です。

    もし、積替えがあれば住所を記入しますが、かなり高確率で保管時の管理状況等を聞かれるのでコンクリートやアスファルト等では基本、しないのが無難だと思います。

    マニフェスト1セットの枚数

    マニフェストは全部で7枚の紙が束になっています。

    管理番号(上部の11桁の番号)は7枚とも同じ数字で、一枚づつめくっていくとわかるのですが、1枚目から、(A)、(B1)、(B2)、(C1)、(C2)、(D)、(E)と書いてあります。

    これを、産業廃棄物の処分が進んでいく毎にどんどんめくりながら最終処分地まで進んでいくことになります。

    マニフェストはどのように動く?

    産業廃棄物を排出した後、手元に戻ってくるまでの間にマニフェストはこのような動きをしています。

    現場から出た産業廃棄物の収集運搬が完了した時点で、『B1』を控えとして持ち、『B2』を元受会社に渡します。

    その後、処分が進んでいくと『C2』が証明として収集運搬業者に渡り、『D』と『E』が元受会社に帰って来る仕組みです。

    『C1』は処分業者が控えとして持ちます。

    工事の完成検査時はどんな状態?

    結局のところ、工事の完成検査時に何があればいいのかと言うと、それはこちらになります。

    自社運搬の場合 (A) (B1) (B2) (C2) (D) (E) 
    委託運搬の場合 (A) (B2) (D) (E) 

    収集運搬を他社に依頼した場合に2枚少なくなるのは、(B1)と(C2)は運搬業者が管理するものだからですが、この辺りが曖昧になりやすいので注意が必要です。

    たまに処理業者から間違えて送られてきて、本来ならば手元にあるはずがないC2票があることがあります。

    それを一緒にまとめて検査に持って行ってしまうと、「この工事は自社運搬?委託?どっち?」みたいな指摘を食らうことになるので、そうならない為にもしっかりと確認するようにしましょう。

    完了時の検印の状態

    もう1つ、検査で指摘されやすいのが、確認の検印です。

    これは段階を踏んで適切に処理された事を確認した後に押印するものなので、時系列が合うように日付が書いてある必要があります。

    このハンコの下に書く日付は左から①運搬日、②運搬日、③D票の処分日より後、④E票の処分日より後、となります。

    このA票はずっと手元にあるので、たまに全部同じ日付(最初の搬出日)を書く人がいますが、それは間違いです。

    運搬日に左の2つに押印し、D票が帰ってきたことを確認して③に押印、E票が帰ってきたことを確認してから④に押印するのがルールです。

    この日付を逆転させないように注意しましょう。

    ※自社運搬の場合、B1にも検印をしなければいけません。タイミングはC2が中間処理業者から帰ってきた時なので、これも運搬日より何日か後なります。

    日付・時間順にまとめてよう

    確認が終わったマニフェストは運搬管理表と同じ順番に束ねて、ファイルに閉じておきましょう。

    まとめ

    これを踏まえた上での完成時の状態です。

    ・運搬管理票と同じ順番でまとまっている
    ・軽量伝票と一緒にまとめてある。(確認できれば別でも可)
    ・検印(日付)は間違っていない

    この記事があなたにとって、少しでも参考になれば幸いです。

    最後までお読みいただきありがとうございました。

    それでは、ご安全に。

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