会社の社長から「今回落札した工事の現場代理人は君だ!!」といわれました。
そもそも無資格でできる物なのですか?
この記事ではこのような疑問を解決します。
ジュンチャムってどんな人?
✅土木歴10年(現役)の現場代理人
✅3児(小学生2、幼児1)の父。
✅趣味でメダカを飼っている。
結論から先に言いますと、無資格であっても土木工事の現場代理人になることはできます。
『現場代理人』には任命するための法律上の規定がないので、特別な資格が何もなくても雇用関係が3か月以上あれば務めることが可能です。
入社直後にはなる事はできないんですね。
そうですね。
この辺りは発注者によって違いますが、基本的には『工事を落札してからフリーランスの現場代理人を雇う』みたいな事はできないような仕組みになっています。
逆に言うと、入社して1年未満であっても継続して会社との雇用関係があれば、いきなり『現場代理人』に選任される可能性はあるわけです。
実際に私も、入社3か月目で現場代理人になりました。
600万円程度の工事でしたが、当時、土木未経験で無資格だった事もあり、精神的にもとても苦労しました。
今日はその経験から、そもそも現場代理人について何も知らない方にも理解しやすいように書いているので、是非、最後まで読んでみて下さい。
・この度、現場代理人に任命された。
・現場代理人の仕事について知りたい。
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現場代理人って何?
それでは、最初に『現場代理人』とは何かについて説明します。
現場代理人(げんばだいりにん)とは、注文者との建設工事の請負契約において、受注者としての立場の請負人(法人の場合は、代表権を有する取締役。個人の場合は事業主。)の契約の定めに基づく法律行為を、請負人に代わって行使する権限を授与された者である。
参照 Wikipedia
こちらはWikipediaの引用ですが、現場代理人とは要するに工事全体をとりまとめる人の事です。
建設会社が工事を請け負う場合、その工事を完了させる責任はその工事を請け負った事業主(代表取締役)にあるのですが、その事業主の代理人として工事現場を統制し、施工管理や安全管理、今後の工事に関する打合わせや書類作成に至るまで、工事を完了させる為に必要な事を行います。
現場代理人は誰でもできる?
現場代理人が誰でもする事ができる仕事かというと、『YES』でもあり『NO』でもあります。
冒頭でも少し触れた通り、現場代理人という役職自体は雇用関係が3か月以上あれば、無資格でもなる事はできます。
しかし、実際に現場代理人の業務をしようと思うと、豊富な知識と経験、現場が円滑に進めるための交渉力等々、必要な能力は多岐にわたる為、ベテランでもできる人はかなり限られてくるでしょう。
主任技術者・監理技術者との違い
『現場代理人』という立場になるのに資格は必要ありませんが、『主任技術者』及び『監理技術者』になる場合は違います。
『主任技術者』になる為には、一定の国家資格を取得しているか、10年以上の実務経験が必要となり、『監理技術者』になるには、更に厳しい一級の国家資格もしくは、一般建設業の専任技術者の要件を満たした上で法定額以上の工事に関して2年以上の指導監督的な実務経験が必要となります。
そして、工事の規模に応じて『主任技術者』もしくは『監理技術者』は必ず現場に配置しなければならないので、『主任技術者(監理技術者)』と『現場代理人』は兼任する場合も多いです。
現場監督と現場代理人の違い
『現場監督』というのはかなり曖昧な呼び方で、主に下請業者の社員や取引先等が、普段接している元受会社のリーダーシップを発揮している職員の事をとりあえず『監督さん』と呼んでおくぐらいの感覚です。
普段、現場で指示を出しているのが『現場代理人』ならその現場代理人が『現場監督』、『主任技術者』が自ら指示を出しているならその人が『現場監督』です。
ちなみに、建設業法の配置するべき役職の中に『現場監督』というのは存在せず、あくまでも業務上のみの呼び方といってよいでしょう。
建設業法について詳しくはこちら。※e-Gov法令検索へのリンクです。
現場代理人の業務内容
では、具体的に現場代理人はどのような業務内容なのかを見てみましょう。
- 発注者との調整
- 関係業者との調整
- 書類の作成
- 地元対応
他にもたくさんありますが、主にこの4つが重要です。
発注者との調整
まずは、発注者との調整です。
工事の日程や施工方法、立合いの頻度等をその都度話合い、工事が円滑に進むように努めます。
その頻度が多ければ多いほど良く、できれば毎日何かしらの報告をするぐらいの方が信用を得やすいです。
関係業者との調整
発注者と密な調整をする為に、関係業者との会話も密にする必要があります。
下請業者や実際に作業をする自社作業員、材料の入荷のタイミング等をとりまとめて、発注者に報告し、その内容をまた関係業者の元に持って帰るといった、発注者と施工者の間に入って日々、調整するというのが現場代理人の主な業務となります。
書類の作成
決定した内容を書類にまとめるのも、現場代理人の仕事です。
しっかり立合いをして決定した内容であっても、打合簿にまとめてなければ何もなりません。
言った言わないの押し問答にならない為にも、お金に絡む内容は特に、書面にして残しておかなければなりません。
地元対応
地元への対応も気をつけましょう。
特に、苦情の電話等が発注者の元にかかってくると、工事成績の評価にも響くので、普段からチラシを配ったり、挨拶をしたりして直接話かけやすい良い印象をもってもらうことが重要です。
現場代理人に関わるルール
現場代理人を行うにあたり、いくつかのルールが存在します。
その内容を一つずつ見てみましょう。
現場代理人を選任した際の発注者への通知
現場代理人を選任した場合、その旨を発注者に通知しなければなりません。
工事の間事業主の代理として、発注者とコミュニケーションをとりながら工事を進めていく必要があるからです。
工事への常駐について
現場代理人は特別な場合を除き、基本的に、現場の稼働日には現場に常駐する事となります。
但し、以下の条件を満たす場合、常駐させなくても良いという例外規定があります。
- 現場代理人がいなくても工事が遂行できる。
- 現場の運営に支障が出ない。
- 現場の取締まりに支障が出ない。
- 発注者との連絡体制が確保されている。
- 事前に現場代理人が常駐していない事を発注者に通知している。
この5つの条件を満たしている場合は、現場代理人が常駐していなくても大丈夫です。
例えば、元受の他の社員(できれば主任技術者・監理技術者が望ましい)が代わりに現場に常駐していて、その事を事前に書面で協議済であれば、この条件に当てはまるでしょう。
工事中の現場代理人の変更について
工事の最中に現場代理人を変更する事は、基本的には認められていません。
但し、こちらにも例外条件があります。
- 病気の場合。
- 死亡の場合。
- 退職等の特別な理由がある場合。
- 工場制作と現場据付の変わり目。
等々、発注者との協議で認められた場合はこの限りではありません。
現場代理人と主任技術者(監理技術者)の兼任について
同一請負契約に限り、現場代理人と主任技術者又は監理技術者を兼任することが可能です。
但しその場合、特別な場合を除き、他工事の現場代理人又は主任技術者等を兼務することができません。
特別な場合とは、密接な関係のある2以上の建設工事を同一の建設業者が同一の場所又は隣接した場所において施工する場合に限り、関連する他工事の現場代理人及び主任技術者又は監理技術者を兼務することができます。
また、同一請負契約で兼任した場合にあっても、当該工事が技術者の専任を要しない工事である場合には、請負金額500万円未満の他工事の現場責任者及び主任技術者を同時に1件に限り兼務することができます。
また、専任技術者や経営業務の管理責任者との兼務は基本的にはできないので、この辺りも注意が必要です。
未経験から入社数か月で現場代理人業務をすることは可能?
私自身の実際の経験から言うと、入社から数か月程度の新人が現場代理人として業務するのは、かなり厳しいです。
それは、現場に対する知識や経験、対応力と責任の重さが全く釣り合っていないからで、それを可能にする為に、会社や上司の手厚いバックアップ体制を自ら求めていく必要があります。
とは言え、これを乗り切った上に然るべき資格を取得する事で、主任技術者や監理技術者にキャリアアップすることができるので、目標を持ってがんばってみて下さい。
まとめ
基本的に一定以上の雇用期間があればなることができる『現場代理人』という役職ですが、実際はかなりの知識と経験が必要となります。
いきなり全てを完璧にするのはかなり厳しいので、上司や先輩方に助けを求めながら、自分のペースでやっていくようにしましょう。
この記事があなたにとって、少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、ご安全に。
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