工事を受注してまず初めに作成するのが施行計画書です。どんなに忙しくても工事着工前に必ず発注者に提出する必要があり、「適当でいいからとりあえず出してしまえ!!」となってしまいがちですが、この施工計画書の出来が工事成績評定にかなり大きな影響を与えている事を知っていますか?
今日はこの施行計画書について、工事成績評定で狙って高得点を出せる現場代理人とそうでない現場代理人にはどのような違いがあるのかを書いていこうと思います。
目次
- 施工計画書とは
- 施工計画書の作り方(使用ソフトについて)
- 施工計画書の内容
- 高得点をとれる施工計画書はどこが違うのか?
- 特記仕様書の内容をフォローしよう。
施工計画書とは
施工計画書とは、工事を受注してから作成する、工事を確実に進行させる為に必要な手順、施工の方法や管理方法等をまとめたものです。
基本的には受注金額が500万円以上の場合に監督職員に提出しますが、それ以下であっても監督職員の指示があれば提出しなければなりません。
500万円以下であっても「簡単でいいので作成して下さい。」と言われて作成する事になるので、ほぼ全ての工事で作成すると言ってもいいかもしれません。
施工計画書は作って終わりと言うわけではなく、工事内容に変更があった場合は変更施工計画書を作成し提出しなければなりません。(工期変更のみ等の軽微な変更の場合は不要の場合あり。)
その上、監督職員の承諾を得れば内容を一部修正することができるので、工事成績で高得点を狙う場合、工事を進めながら少しづつ修正を行い、より完璧なものを目指す必要があります。
施工計画書の作り方(使用ソフトについて)
施工計画書の作成は、大抵の現場代理人がExcelを使用していると思います。
理由は土木で作成する書類のひな形はExcelで作られたものが多いからだと思われます。有料の施工計画作成支援システム(デキスパート・EX-TREND武蔵等)もExcel上で動作しますし、無料の施工計画書テンプレートで有名な日本建設業連合会のひな形もExcelです。
実際に私もほぼ全ての書類の作成をExcelで作成しています。
※たまに発注者から来るひな形でWordで作成されたものがあるのでこちらも少し使えるといいと思います。
施工計画書の内容
施工計画書に記載しなければならない内容は以下の通りです。
・工事概要
・計画工程表
・現場組織表
・指定機械
・主要船舶・機械
・主要資材
・施工方法(主要機械、仮設備計画、工事用地等を含む)
・施工管理計画
・安全管理
・緊急時の体制及び対応
・交通管理
・環境対策
・現場作業環境の整備
・再生資源の利用の促進と建設副産物の適正処理方法
・その他
これを全て作成して提出しなければなりません。作成例についてはこちらを参考にするといいと思います。
高得点をとれる施工計画書はどこが違うのか?
では、ここからが本題です。工事成績評定で高得点をとれる施工計画書とそうでない施工計画の一番大きな違いは「その工事に沿った内容であるかどうか」です。
その他にも誤字脱字の多さであったり、ですます文(敬体)の中にだ・である調(常体)がまじっていたりとか、急に改まって「序文、本工事は○○において○○を達成することを目的とし、云々」みたいな文になるみたいなそれ以前の問題で印象を落としている場合もありますが、基本その辺りは普通にできているものとして進めていきます。
みなさんは施工計画作成支援ソフトで作成した施工計画書をそのまま提出したりしていませんか?
この施工計画作成ソフトは施工計画を作成するにあたり必要なテンプレートが揃っている為、簡単に、数時間で施工計画書を作れるとても便利な物ですが、逆に言うと現場経験の全くない事務員さんでも同じ施工計画書が作れてしまうのです。
ちょっと極端すぎるように思えるかもしれませんが、実際に未経験で入社して1年ぐらいの新人が普通に施工計画書を作っているなんて事もよくあります。
その書類とは明確に差別化をしなければ80点越は100%ありません。
その差別化を図る為の「工事に沿った内容の施工計画書」です。
私は施工計画作成ソフトがダメとは思っていません。工事の大まかな骨組みを作成する分にはとてもいいものだと思っています。
ただ、そのソフトに依存しっぱなしの誰でも作れる施工計画書から脱却するには、そこに自身の技術者としての経験を乗せる必要があります。具体的には
・「No.○○からNo.○○にかけて・・・云々。」の様に測点情報を絡めて説明する。
・安全や品質についての問題点をリストアップし、その解決策を明記する。
・現場周辺の状況(交通量や通学路に該当するか等)について、どのように安全対策を行うかを明記する。
等、例をあげるとたくさんありますが、要はその現場でしかありえない(発生しない)問題点をどれほど把握し、対策を立てた上で作成されているかがです。
「同じ工事(工法)であっても他の工事では絶対に流用できない」ぐらいその現場に即した施工計画書を作る事が大切なのです。
特記仕様書の内容をフォローしよう
現場に沿った内容の施工計画書を作成するのに役立つのが特記仕様書です。特記仕様書には標準仕様書に書けないその工事個別の事項が書かれています。
様式がある程度行政庁によってテンプレート化されている為、「どうせ他の工事と同じ事が書いてあるんだろう」と適当に読み飛ばしてしまいがちですが、実は工事によって中身は違っています。
そしてこの特記仕様書は必ず遵守しなければならない為、この内容を把握し、どの様に実行するかを施工計画書に反映させましょう。
まとめ
今日は高得点を意識した施工計画書の作り方について書きました。
私の思う注意点としては、
- 特記仕様書の内容をよく確認する。
- 特記仕様書の内容を施工計画書に反映させる。
- その現場の内容や周辺状況を把握し、施工計画に反映させる。
- 施工計画作成ソフトは使用しても良いが大まかな骨組みの作成と捉え、あくまでも自分の言葉で作成する。
- 誤字脱字、文調の不統一等のミスが無い事を確認する。できれば自分以外の人に確認してもらう。
です。
そして提出した後も監督職員と話し合いながら少しでも良い物(現場に合った内容の施工計画)を作る事が大切だと思います。
それでは、ご安全に。
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